私のことをわかって

センター長の石川です。

暴力行為があるとレッテルを貼られた
ある認知症の人の思いです。

私のことをわかって

私は或る日
お兄さんとお姉さんに連れられて

小さなバスに乗せられ、大きな建物の前までやって来ました

笑顔のお姉さんに誘導されて、どこやら広い部屋に

ここは一体何処だろう

私はどうしてここに連れて来られたの?

周りは見知らぬ人ばかりで、なんだかとっても怖い

とっても不安

誰か教えて、ここは何処なの?

あなたたちは誰なの?

わけがわからないから、家へ帰ろうと

出口を探していると

後ろから笑顔のお姉さんに声をかけられて

元の場所に戻された

私のことをわかって

食事もお茶も出されたけれど、わけがわからなくて

食べる気がしない

寂しいし、不安だし

だからやっぱり家に帰ろうと、出口を探していたら

後ろから笑顔がなくなったお姉さんに声をかけられて

また、元の場所に戻された

何度も今日からここに泊まるんだと言われるけど

なんのことだかわからない

私にはちゃんと家があるのに

頭の中が混乱して、どうしたらいいかわからない

泣きたいくらい不安

私、家に帰りたい、帰らせて

私のことをわかって

すると笑顔の若いお兄さんがやってきた

私の話聞いてくれるのかな、安心できるのかな

お兄さんはなにやら言うと、私を何処かへ誘導してくれる

安心できるのかな、家へ帰れるのかな

安心できるのかな、優しいお兄さんかな

連れられた場所

ここはお風呂? どうしてここに?

なんで、どうして

なんで服を脱がなきゃならないの

なんでお風呂場にいるの

家に帰らせて!
ここから出して!

気がついたら、お兄さんを叩いてた

叩くつもりはなかったのに

怖かったし、不安だったし

わけがわからなかったから

私のことをわかって

いつのまにか、大勢の人に囲まれて

冷たい視線で私のことを見ている

家に帰りたいだけなのに

悪いことしていないのに

どうしてそんな目で私を見るの?

私はただ

色々なことが理解できなくて

寂しくて、怖くて、家に帰りたい

ただそれだけなのに

私のことをわかって

そんな気持ちをわかって欲しい

聴いて欲しい

やさしくして欲しい

ただそれだけなのに

誰もわかってくれない

やさしく話を聴いて欲しい

ただそれだけのことなのに

それだけで
安心できるのに

私のことをわかって

お願い…

私のことをわかって

あるショートステイ利用者への複数回の聞き取りから、本人視点で考えてわかったこと

(大府センター指導者による。石川が編集 2007)

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